能登半島地震支援活動 7/25(木)-28(土)

7月25日(木)~28日(日)の4日間、NPO法人鍼灸地域支援ネットと合同で、石川県輪島市門前町にてボランティア活動を行いました。
25日は移動日。
26日は輪島市門前総合支所にて6回目の活動。午後は2名が別班として浦上公民館へ移動し、シャンティ国際ボランティア会、東京ボランティア・市民活動センター共催の「ふれあい喫茶」に三度目の参加。
27日は七浦公民館にて9回目の活動。
28日(日)は門前町在住の毎日新聞記者の案内で、朝市跡や能登の名所を見学しました。


7月26日(金) 会場:輪島市門前総合支所3階会議室(輪島市門前町)
■活動受入先:輪島市門前総合支所地域振興課
■活動時間:7月26日(金)10:00~16:30
■活動者:浜野浩一(鍼灸地域支援ネット、HART関東/鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師/東京都)、福森千晶(鍼灸地域支援ネット/鍼灸師/三重県)、鎌倉要子(HART関東/鍼灸師/東京都)、谷遼典(鍼灸師/石川県輪島市)、浜野史埜(学生ボランティア/受付担当/東京都)
■受療者:8名(新患2名、再診6名)
■報告
会議室にベッド2台を設置して施術を行いました。
支所職員、隣室に事務所がある商工会の職員が主な対象ですが、再診の一般市民の方も2名来てくださいました。受療者は午前が多く、午後は2名のみでした。
午後はスタッフ2名が浦上公民館での活動のために抜け、入れ替わりで地元鍼灸師の谷先生が参加してくださいました。
活動終了後はドラッグストアで夕食を購入。門前町に唯一あったスーパーが被災で閉店したため、地元の皆さんはドラッグストアで食材を購入していると聞いていたので、どのようなものか勉強を兼ねて訪ねてみましたが、生鮮品からお惣菜・お弁当まで、スーパー並みの品ぞろえには驚かされました。


7月26日(金) 会場:浦上公民館(輪島市門前町)

■活動受入先:シャンティ国際ボランティア会、東京ボランティア・市民活動センター
■活動時間:7月26日(金)14:00~16:30
■活動者:浜野浩一(鍼灸地域支援ネット、HART関東/鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師/東京都)、浜野史埜(学生ボランティア/受付担当/東京都)
■受療者:7名(うち2名はスタッフ)(新患7名)
■報告
シャンティ国際ボランティア会と東京ボランティア・市民活動センターが共催する「ふれあい喫茶」は毎週金曜日、二か所で同時開催されています。今回は過去二回参加させていただいた禅の里交流館ではなく、浦上公民館での初めての活動になりました。講堂のような広いスペースに、テーブルを組み合わせた島が3か所設営され、利用者はそこで主催者の提供する茶菓子をいただきながら会話を楽しむといった様子でした。2時間の開催中、入れ替わりながら常に10名ぐらいの方が参加されていたようです。仮設住宅から来られる方もおられれば、ご自宅住まいの方もおられました。週一回のこのサロンを楽しみにされている方も多いようで、「お礼に」と折り紙で作った花を持って来られた方もおられました。

施術はステージ脇にベッド1台を設置して行いました。初めての会場でしたので、どんなことをしているかが遠目に見えるよう、目隠しは設置しませんでした。開始早々、予約枠がたちまち埋まり、「次はいつ来るの?」「来週予約できる?」といったお声をいただきました。
「ふれあい喫茶」終了後はスタッフ2名を施術させていただきました。


7月27日(土) 会場:七浦公民館(輪島市門前町)
■活動受入先:七浦公民館
■活動時間:7月27日(土)8:45~17:00(休憩時間:11:30~12:30、15:00~15:30)
■活動者:浜野浩一(鍼灸地域支援ネット、HART関東/鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師/東京都)、福森千晶(鍼灸地域支援ネット/鍼灸師/三重県)、鎌倉要子(HART関東/鍼灸師/東京都)、浜野史埜(学生ボランティア/受付担当/東京都)
■受療者:17名(新患1名、再診16名)
■報告
施術会場に設置されていたシャワーテントが回収され、無くなっていました。公民館の本来の姿に戻していく、ということだそうです。配食支援も終了。入居が進んだ仮設住宅への不満を耳にする機会が増えました。
活動翌日は地元在住の毎日新聞記者の案内で、輪島朝市跡やヤセの断崖などの名所を見学。被災の跡も、能登の良い所も両方知ってほしいという記者の配慮によるコース設定でした。車中では震災前の輪島が抱えていた課題や、避難所と災害関連死認定にまつわる問題など、あまり報道されていない被災地の一面についてもお話してくださいました。朝市跡で、がれきの間に咲いていた花に私たちが手を合わせていると、小雨が降り始めました。
涙雨だったのでしょうか。


門前町の皆さまへの聴き取り:「災害を経験していない人に伝えたいこと」
今回の活動には学生ボランティアが参加し、事前にWHOのPFA(Psychological First Aid:心理的応急処置)のテキストで災害時の心のケアについて学んだ上で、私たちの施術を複数回受療されている方を対象に「災害を経験していない人に伝えたいことは?」というテーマで聴き取りを行いました。そこでいただいた言葉の一部をご紹介いたします。
・ 現金が大切になる。キャッシュレスは使えなくなるから。
・ 水もとても大切だから備蓄してほしい。
・ 車中泊だとエンジン入れっぱなしでガソリンがとても減る。
・ 防災グッズは大切だけど、地震の時に外にいたり、家がつぶれたりしたら意味ないから、頼るな。
・ スーパーは閉店。地元の野菜は高い。結局ドラッグストアで買っている。
・ 体が丈夫でないと逃げられないし、心も病みやすいため、健康第一。
・ 助け合いを大切に。
・ 被災時、町が孤立した恐ろしさ
・ 石川の人たちに能登が忘れられているのではないかという恐怖
・ 今回の地震をどうか忘れないでほしい。色々な人に伝えてほしい。なかったことにしないでほしい。
・ 画面の中の事ではない。画面は切り取られている。
・ 半年たっても撤去が進まない。お金がかかる。
・ それでも頑張り、復興に向けて行動し、情報を発信し続けている地元の人もいる。
・ 仮設住宅は住み心地悪い。家がいちばん。家じゃないと落ち着かないし、安心して寝れない。

・ 仮設住宅は表札を出していない所も多く、交流のためのイベントもないので、隣に誰が住んでいるのかわからない。これでは仲よくならない。


今回の活動にあたり、門前総合支所の畠中様、シャンティ国際ボランティア会の中井様、七浦公民館館長の升本様、拠点を提供くださっている杉田様、毎日新聞の東様、聴き取りに快く応じてくださった門前支所および商工会の職員様と門前町民の皆様に大変お世話になりました。ありがとうございました。

2024年7月29日
HART関東 代表理事 浜野浩一


本活動は日本財団の助成を受けています。

日本財団WEBサイト:http://www.nippon-foundation.or.jp/

能登の寄り道(2)
今回は地元新聞記者の東さんの案内で、能登の名所を回りました。
そのひとつ、鳴り砂の浜は、泣き砂の浜とも呼ばれ、歩くと音の鳴る砂浜として有名だったそうです。
駐車場の公衆トイレが使用不可になっていて、ここも地震で被害を受けたことがわかります。もっと痛々しいのは、浜の向こうに見える崖崩れ跡。それを遠目にゆるやかな坂を下っていくと、1メートルほどの大きさの新鮮そうな落石が転がっています。見上げると、その石の跡がきれいにえぐれた崖がそびえていました。震災後、人が訪れなくなったせいか、浜は流れ着いたゴミが目立ちます。私たちが歩いても残念ながら音は鳴らず、東さんも「おかしいなぁ、鳴らなくなってるなぁ」と首をひねっておられました。
もう一度ここがきちんと整備され、再び人が訪れるようになれば、砂も沈黙を破って喜びの鳴き声をあげてくれるのでしょうか。そうなることを祈ります。     (HK)